私の想い、願い
私は子供の頃、人形を作る人になりたいと夢見ていました。母に「それでは生活に困る」と言われ、その夢は心の片隅に閉まっておきました。
2011年、東日本大震災。孤独と寂しさに押し潰されてしまいそうでしたが、困難である時こそ自分の本当の夢を叶えようと決意しました。
「人形を作るのではありません。どんな性格の子?何を語りかけてくる子?」と人形制作の恩師、久保田のり子先生は思いも寄らない言葉で私に問います。
最初の一体ができた時、私は60歳。自分で縫った着物を着せた時、我が子が産まれたような感動で涙が溢れました。
「良い子です」と先生からの言葉を頂くまで、習い始めてから約8年掛かりました。その子が今、一目千本桜染のドレスを着て、ここにいます。
私は7〜8歳位の夢も希望もある子を作ります。傍にいて時々語らい、慈しみ、愛をもって癒してくれる子を作るように心がけています。
私の作る子達は着せ替えができます。着物も洋服も、おへそもあります。人形が完成すると、次は何が似合うかを考えます。服を縫う為に、部屋中に布を広げて、一日中悩むこともあります。縫い上げても似合わないことがあり、段々と似合う服に辿り着いていきます。
2023年の年頭、なぜかワクワクして迎えました。一目千本桜染との出会いの予感だったのでしょうか。今日ここまで、たくさんの方々との出会いやご縁が繋がって、導かれてここにいます。皆様に感謝し、これから先も様々なことに勇気を持って挑戦したいと思います。
(2023.8.24)